60代の履歴書の書き方|定年退職・再雇用の職歴欄と記入例

履歴書にペンで記入する手元 転職活動
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転職を考え始めると、最初に手に取る書類が履歴書です。

職務経歴書と違って、履歴書は昔から何度か書いたことがある方が多いと思います。ところが60代になって書こうとすると、意外なところで手が止まります。定年退職はどう書くのか。再雇用で働いている今の立場は、どの行にどう入れるのか。40年近い職歴を、あの狭い欄にどう収めるのか。

実は私は、以前に人事に関わる業務に携わっていた時期があり、応募してくる方の書類を受け取って読む側にいたことがあります。今日はその経験を思い出しながら、60代が履歴書を書くとしたら何を押さえればいいのかを、自分なりに整理してみます。

その前に一つだけ。履歴書は転職活動の中の「一工程」です。以前、転職活動の準備には順序がある、という話を整理した記事を書きましたが、履歴書を書くのはその中盤にあたります。先に全体の流れを押さえておくと、書類づくりで迷う時間がずいぶん減ります。

そして、お断りしておくと、私は今、実際に転職活動をしているわけではありません。あくまで「もし書くとしたら」という前提で、頭の中で組み立ててみた話としてお読みください。

見る側が履歴書から知りたかった、5つのこと

ここが、今日いちばんお伝えしたいところです。

書類を受け取って読む側にいたとき、私が履歴書から知りたかったことは、思い返すと次の5つでした。

  1. 職場を変わったとき、その理由は何だったのか
  2. 前の職場で何をやっていて、採用したら何ができるのか
  3. 年齢層や男女比が前の職場と違っても、なじめる人か
  4. 年下の上司の下で働ける人か
  5. 直感的に、職場に溶け込めそうな人か

華々しい実績を探していたわけではありません。むしろ、この5つが読み取れる履歴書は、それだけで「会ってみようか」という気持ちになりました。

大事なのは、この5つに答える欄が、履歴書にはちゃんと用意されている、ということです。1と2は職歴欄、2から4は志望動機欄、5は写真と書類全体の丁寧さ。どの欄で何に答えるか。これを意識するだけで、履歴書は「書かされる書類」から「伝える書類」に変わります。

以下、欄ごとにその対応を見ていきます。

まず、様式を選ぶ

書き始める前に、様式を一つ確認しておきます。

昔から使われてきた履歴書の様式には、性別の男女選択、通勤時間、扶養家族数、配偶者の有無といった欄がありました。現在、厚生労働省が示している履歴書の様式例では、性別欄は任意の記載欄になり、通勤時間や扶養家族、配偶者に関する欄は設けられていません。

何十年か前に書いた記憶のまま、「この欄も埋めなければ」と思い込まなくて大丈夫です。市販のものや応募先の指定様式を使う場合は、そこにある欄を埋めればよく、ない欄を自分で足す必要はありません。

もう一つ。60代は職歴が長いので、職歴欄の行数が多い様式を選ぶと書きやすくなります。手書きかパソコンかは、応募先に指定があればそれに従い、なければどちらでも構いません。

欄ごとの書き方と記入例

日付・氏名・写真

日付は提出日、または投函日です。写真は3か月以内に撮ったものを使い、昔の写真の使い回しは避けます。先ほどの5つ目「直感的に職場に溶け込めそうか」は、正直なところ、写真と書類全体の丁寧さで判断されていた部分が大きかったと思います。表情が硬くても構いません。今の自分を、きちんと撮ることです。

学歴

高校卒業から書くのが一般的です。年号は和暦でも西暦でもよいのですが、必ずどちらかに統一します。60代の場合、学歴と職歴で昭和・平成・令和をまたぐので、途中で混ざりやすいところです。早見表で確認してから書くと安心です。

職歴

すべての職歴を時系列で書くのが原則です。書ききれない分は職務経歴書に回し、履歴書の職歴欄には会社名と入社・退職の年月を書きます。

ここで一つだけ、私なら付け加えたいことがあります。会社名の次の行に、担当した仕事を一言添えることです。

平成○年 4月 株式会社○○ 入社
       営業部にて法人向け営業、のちに若手の育成を担当
令和○年 3月 株式会社○○ 定年退職

「営業部で部長を務めた」よりも、「法人営業と若手の育成を担当」のほうが、読む側は「うちで何ができる人か」を思い描けます。先ほどの2つ目「前職で何をやっていて、採用したら何ができるのか」に、職歴欄で先に答えておく形です。

もう一つ、見る側として気になっていたのは、職場を変わった理由でした。退職の行には「一身上の都合により退職」「会社都合により退職」といった定型の書き方があり、詳しく書く必要はありません。ただ、空欄にしたり「退職」だけで済ませたりすると、読む側は理由を想像しながら読むことになります。定型でよいので、理由の種類が分かる書き方にしておくのが親切です。定年退職や再雇用の場合の書き方は、次の節でまとめて扱います。

免許・資格

今の応募先で使えるものを中心に書きます。若い頃に取った資格でも、有効なものは書いて構いませんが、応募先と関係の薄いものを並べすぎると、要点がぼやけます。

志望動機

ここが、5つのうち2から4に答える場所です。

志望動機というと「御社の理念に共感し」という書き出しを思い浮かべがちですが、見る側が知りたかったのは、「なぜこの仕事か」と「何ができるか」の2つでした。これまでの経験を、応募先の仕事に引き寄せて一言で言い換える。この「翻訳」の考え方は、ポータブルスキルの記事と職務経歴書の記事で詳しく書いたので、そちらも参考にしてください。

そして、60代の志望動機には、もう一つ役目があります。「年下の上司の下で働けるか」「顔ぶれの違う職場になじめるか」という、読む側が口に出しにくい不安に、先回りして答えることです。

書き方は難しくありません。前の職場で、自分より若い人や、年齢層・男女比の違う人たちと一緒に働いた経験があれば、それを一文入れる。「指示を受ける立場で働く」ことに抵抗がないなら、そう書く。それだけで、読む側の不安はかなり和らぎます。

例:前職の最後の3年間は、年下の管理職の下で若手の指導役を務めました。立場に関わらず、指示を受けて動くことに抵抗はありません。

志望動機を3つの文で組む型と、定年後・再雇用中・パート・未経験の4場面の例文は、60代の志望動機の書き方と例文にまとめました。

本人希望欄

勤務日数や時間に希望がある場合は、ここに書きます。希望がなければ「貴社規定に従います」で構いません。パートで働きたい場合の書き方は、後の節で触れます。

職歴欄の「定年退職」「再雇用」はどう書くか

ここが、60代の履歴書でいちばん迷うところだと思います。私が書くとしたら、こう整理します。

定年で退職した場合

そのまま「定年退職」と書きます。一身上の都合でも会社都合でもなく、会社の定めた年齢で退職した事実をそのまま書けばよく、これが最も分かりやすい書き方です。

令和○年 3月 株式会社○○ 定年退職

再雇用で働いている、または働いていた場合

定年退職のあとに同じ会社で再雇用された場合は、定年退職の行の次に、再雇用された事実と雇用形態を書きます。正社員以外の雇用形態は書き添えるのが原則なので、嘱託や契約社員といった形態を入れます。

令和○年 3月 株式会社○○ 定年退職
令和○年 4月 株式会社○○ 嘱託社員として再雇用
       現在に至る

再雇用の契約が終わって退職した場合は、「契約期間満了のため退職」と書きます。

令和○年 3月 株式会社○○ 契約期間満了のため退職

なお、再雇用の行の書き方は、公的な様式で決まった形があるわけではありません。「雇用形態を添える」という一般的なルールに沿った一例として受け取ってください。

定年前に動く場合

まだ在職中で、転職先を探している場合は、職歴の最後に「現在に至る」と書きます。退職日が決まっているなら、その日付を添えます。在職中の転職活動そのものについては、別の記事で整理しています。

定年後に空白の期間がある場合

定年退職からしばらく時間が経ってから応募する場合、その期間を隠す必要はありません。職歴欄には定年退職の行までを書き、空白の期間に何をしていたかは、志望動機か本人希望欄で一言触れるか、面接で聞かれたときに答えられるようにしておけば十分です。読む側は空白そのものより、「今、働く気持ちと体力があるか」を見ています。

パートに応募する場合に変わるところ

正社員や契約社員ではなく、パートで働きたい場合も、履歴書の基本は変わりません。変わるのは2点です。

一つは、本人希望欄にシフトの希望を書くことです。働ける曜日や時間帯に制約があるなら、最初から書いておくほうが、お互いに無駄がありません。

もう一つは、職務経歴書が原則として不要なことです。応募先から求められなければ、履歴書だけで構いません。そのぶん、履歴書の職歴欄に担当した仕事を一言添える工夫が、より効いてきます。

パートの求人の探し方と応募のコツは、60代のパート・アルバイトの探し方をご覧ください。

60代がやりがちな、3つのこと

見る側にいた経験から、「もったいないな」と感じた書き方を3つ挙げておきます。自分が書くときにも、気をつけたいところです。

その1:退職理由を書かない

職場を変わった理由は、見る側がいちばん最初に知りたいことでした。定型でよいので、必ず書きます。

その2:肩書を並べすぎる

部長、本部長、役員。肩書が並ぶと、読む側は「この人は指示を受ける側で働けるのだろうか」と、どうしても考えます。肩書を隠す必要はありませんが、肩書より「何を担当していたか」を前に出すほうが、年下の上司の下でも働ける人だと伝わります。

その3:志望動機が「何ができるか」に触れていない

「社会とのつながりを持ちたい」「経験を活かしたい」だけでは、読む側は何を期待していいのか分かりません。経験を応募先の言葉に翻訳して、「だから、これができます」まで書くことです。

3つに共通するのは、読む側が知りたいことに、書く側が先回りして答える、ということです。

まとめ|履歴書は「5つの問い」に答える書類

長くなりましたので、最後に整理します。

  • 見る側が履歴書から知りたかったのは、職場を変わった理由/前職で何をやっていて何ができるか/顔ぶれの違う職場になじめるか/年下の上司の下で働けるか/職場に溶け込めそうか、の5つ
  • 職歴欄には担当した仕事を一言添え、退職理由は定型で必ず書く
  • 定年で辞めたなら「定年退職」、再雇用はその次の行に雇用形態を添えて書く
  • 志望動機は「なぜこの仕事か」と「何ができるか」、そして読む側の不安への先回り

履歴書が通った先には、職務経歴書と面接が待っています。職務経歴書の書き方と面接で何を聞かれるか、そして面接での答え方と例文は、それぞれ別の記事で整理していますので、あわせてお読みください。

注意:本記事は私の個人的な経験と、一般的な情報をもとに書いています。履歴書の様式や記載方法は応募先によって指定がある場合があります。詳細については、ハローワークの相談窓口や、転職支援サービスのアドバイザーへの確認をおすすめします。

履歴書づくりの前に読んでおきたい1冊

江上剛さんの『定年後の壁―稼げる60代になる考え方』(PHP新書)は、元銀行員の著者が職業安定所で求職の申込書を出したとき、経歴ではなく具体的なスキルを書くよう指摘された体験から始まる本です。肩書きを手放して60代からの仕事をどう考えるかを、お金・再就職・健康・人間関係などの「壁」ごとにまとめています。

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