再雇用で給与が下がった後|家計を見直して気づいた3つのこと

お金・年金

再雇用で給与が変わった、最初に感じたこと

再雇用で給与がどう変わるかは、現役時代から想像はついていました。実際の手取り額については、再雇用の給与は激減する?60代前半・現役会社員が手取りを公開という別の記事で詳しく書いています。

「いずれは家計のことも、なんとかしないとな」とは、ずっと頭の片隅で思っていました。それでも、現役のころは仕事に追われていて、お金のことをじっくり考える時間が取れないまま過ごしてきました。「いずれ」「そのうち」と先延ばしにしてきた、というのが正直なところです。

再雇用になり、仕事の量も以前ほどではなくなって、ようやく自分の時間ができました。考えてみれば、給与が下がったのと同じタイミングで、考える時間が増えたわけです。お金のことに腰を据えて向き合えるようになったのは、再雇用の少し意外な一面だったのかもしれません。

そこから、ある経済系オンラインコミュニティの考え方を参考にしながら、固定費・生活費・将来資金の3つを順番に見直していきました。本記事では、その3つを通して気づいたことをまとめてみたいと思います。


見直し① 固定費 — 気づかないうちに払っていたものを可視化

給与が下がってまず手をつけたのは、毎月決まって出ていく固定費でした。

きっかけは、ある経済系オンラインコミュニティで紹介されていた「6大固定費の見直し」という考え方を知ったことです。通信費・保険・車関連費・住居費・光熱費・サブスク——固定費を大きく6つに整理して、宿題を1つずつこなすようなつもりで進めていきました。

通信費 — 「大手でないと不安」という思い込み

最初に手をつけたのが通信費です。それまでは大手キャリアの契約のまま、家族のスマホもまとめて同じキャリアでそろえていました。そこを段階的に、まずは大手キャリアのオンライン専用プラン、それから別の格安SIMへと切り替えていきました。家族分も同じタイミングで見直したので、解約や名義変更の手続きにはそれなりに時間を取られました。

それでも結果としては、月1万円以上の削減になりました。「大手でないと品質が不安だ」と思い込んでいましたが、実際に変えてみると通信品質は以前と変わらず、拍子抜けしたほどでした。

保険 — 加入時と今のギャップ

次に向き合ったのが保険でした。終身保険は、これ以上保険料を払わずに保障だけ残す形(いわゆる「払い済み」)に変更しました。加入していたがん保険と医療保険については、自分のケースでは健康保険など公的な保障で対応できる範囲だと判断して解約しました。

これだけで、月1万円以上の見直しになりました。加入したのはずいぶん前のことで、当時の判断と今の生活との間にかなりギャップが生まれていたことに、見直してみて初めて気づかされました。

なお、退職後の健康保険については、任意継続・国民健康保険・家族の被扶養者の3つから選ぶことになります。保険料や手続きの違いから、自分に合った選択肢を選ぶことが大切です。各選択肢の比較と2026年の制度改正の影響については、退職後の健康保険、どう選ぶ?|3つの選択肢と2026年改正の影響で整理しています。

車関連費 — 「人任せ」だった習慣

3つ目は車の保険です。長年、ディーラーや代理店任せのまま更新を続けてきましたが、自分でネット型の自動車保険を比較して切り替えました。補償内容も合わせて見直して、月5,000円以上の節約になりました。

やってみて思ったのは、「人任せ」のまま更新を続けてきたのは、ほかでもない自分自身だった、ということでした。

固定費の見直しで本当に得たもの

固定費全体で、月2万5,000円以上、年にすれば30万円を超える削減になりました。ただ、振り返って思うのは、お金以上に大きな変化があったということです。

「大手キャリアでないと不安」「保険のことは詳しい人に任せておけば大丈夫」——そうやって誰かに任せてきた選択を、一つひとつ自分で考え直すようになりました。再雇用というタイミングが、その「考え直し」のきっかけをくれたのかもしれません。


見直し② 生活費 — 「節約」より「優先順位」で考えた

固定費を見直したあと、次に向き合ったのは生活費でした。ただし、こちらは固定費とは少し違うアプローチで考えました。

「全部削る=我慢」ではなく、「何を残し、何を減らし、何を変えるか」を一つずつ整理してみたのです。生活費は毎日のことなので、一律に切り詰めるやり方では続かないだろう、と感じていました。

残したもの — 家族との時間、健康、好きだったこと

「残したもの」は、家族との体験、健康に関わるもの、そして趣味の一部です。家族と出かける機会、運動の習慣、品質を選びたい食品、読書や旅行など気持ちが豊かになる時間——お金で買えない時間や、生活の基盤を支えるもの、自分の充実度に直結するものは、無理に削らないと決めました。これは「我慢を最小化するための優先順位づけ」でもあったと思います。

減らしたもの — 「我慢」より「優先順位」

「減らしたもの」もあります。外食やデリバリーの頻度、スーパーで「ついでに」と買ってしまっていた食品、何年も使わずに続けていたサブスク、頻度が落ちていた趣味のサービスなどです。

これらは「我慢して削った」のではなく、「優先順位を下げた結果、自然と減っていった」という感覚に近いものでした。後悔のような重さはほとんどありませんでした。

変えたもの — 見える化・買い方・「売る」選択

そして「変えたもの」が3つあります。

1つ目は見える化で、家計簿アプリと、銀行・カードの集約です。何にいくら使っているかを、月単位でまとめて眺められるようにしました。

2つ目は買い方そのものの変更で、本は購入の前に図書館や中古を覗いてみる、家電は価格比較サイトを開いてから買う、といった「ひと手間」を入れるようになりました。

3つ目は「捨てる」を「売る」に変えたことです。フリマアプリや買取サービス、長年置いていた蔵書なども含めて、手放すときに少し立ち止まる習慣ができました。

生活費の見直しで気づいた共通点

振り返ってみると、生活費の見直しでやったことには共通点がありました。何にいくら使っているかを見える化し、買い物の前に少し考える時間を持ち、捨てる前に「売れるかも」と立ち止まる——どれも、これまで見えていなかったものを見るようにしただけのことでした。

我慢ではなく、自分の生活に意識を向けるようになる。それが、生活費の見直しで一番大きな収穫だった気がします。


見直し③ 将来資金の置き場 — 取り崩しを前提に整理する

固定費・生活費を見直したあと、最後に向き合ったのが、これから先のお金のことでした。

再雇用で月々の収入が下がり、定年もそう遠くない。これまでのように「とにかく貯める」だけでは、何のためにいくら必要か、自分でもよく見えないままでした。

「銀行に置くだけ」が選択肢じゃないと気づいた

まず気づいたのは、「お金は銀行に置くもの」と思考停止していた、ということでした。お金には目的があり、目的によって置き方が違うほうが自然だと、改めて感じました。すぐ使うかもしれないお金と、しばらく動かさないお金を、同じ場所に並べておくのはもったいない、と思うようになりました。

「いくら貯めるか」から「どう取り崩すか」へ

次に変わったのは、時間の見方です。「いくら貯めるか」から「これからの時間で、どう取り崩していくか」へと、視点が動きました。65歳、70歳、80歳——その先まで続いていく時間軸の中で、毎年いくら使い、いくら残るのかを、ぼんやりとでも描いてみるようになりました。

「使う時期」と「置き場」をセットで考える

3つ目は、「使う時期」と「置き場」をセットで考えるようになったことです。すぐに使うかもしれないお金、数年以内に使う予定のお金、もっと先のためのお金——それぞれに合った置き方があるはずだ、と思うようになりました。具体的な配分は今も試行錯誤していますが、その試行錯誤自体が、これまでの自分にはなかったものです。

専門家への相談も組み合わせる

もちろん、自分で考えるとは言っても、年金の細かい計算や退職金の税金など、専門家に確認したほうが確実なことも多いです。年金のことは年金事務所、税金のことは税理士に聞くようにしています。

答えはまだ出ていません。それでも、「お金は銀行に置くもの」と思考停止していた頃と比べれば、自分とお金との距離感は、確実に変わった気がします。


見直しを続けてみて気づいたこと

固定費・生活費・将来資金。3つの見直しを続けてみて、気づいたことがいくつかあります。

1つ目は、「使う金額」より「何に使うか」のほうが大事だ、ということです。家族との時間、健康、自分の充実度——お金を使うことには、自分なりの優先順位があります。同じ金額でも、何に使ったかで、後に残る満足は驚くほど違うのだと、見直しを通じて改めて感じました。

2つ目は、自分のお金が残らない理由が、ようやく見えたことです。お金がないのではなく、お金との向き合い方が曖昧なまま長年を過ごしてきただけでした。「収入が少ないから残らない」と思っていた部分の多くは、実際には「向き合っていなかったから残らなかった」だけだった、と気づかされました。

3つ目は、「考えているつもり」と「具体的に行動する」のあいだには、思った以上に距離がある、ということです。お金については、これまで「それなりに考えているつもり」でした。ですが見直しを始めてみて、自分の「考えている」が、まったく具体的ではなかったことに気づかされました。

そして4つ目。月並みな表現ですが、「人生で初めて、お金をコントロールできている感じがする」というのが、いまの正直な実感です。すべてが思い通りになっているわけではありません。それでも、自分の意思で選び直している、という感覚を持てるようになったのは、これまでにない手応えでした。

こうして並べてみると、3つの見直しは、お金そのものよりも、これからの人生の見え方を変えた気がします。お金の向こう側にあったのは、結局のところ、自分の生活の輪郭でした。


まとめ|お金の見直しは、生活全体の調整

固定費、生活費、将来資金。3つを順番に見直してみて、いま感じているのは、「お金の見直しは、生活全体の調整なんだ」ということです。

完璧にできたわけではありません。今もまだ整理しきれていないこと、迷っていることもあります。一度見直して終わり、ではなく、これからも続けていくものなのだろう、と感じています。

このシリーズでは、これから「退職金の受け取り方」「年金をいつからもらうか」「退職後の健康保険」など、もう少し制度寄りの話も整理していくつもりです。退職金の受け取り方については、続編として退職金はどう受け取る?|3つのタイプと税金の整理を公開しました。あわせて読んでいただくと、家計の見直しと制度面の整理がつながりやすいかと思います。同じように、再雇用や定年を前にして家計と向き合っている方の参考になれば嬉しく思います。


注意: 本記事は私の個人的な体験と、一般的な情報をもとに書いています。再雇用後の家計や資金計画は、個人の状況によって大きく異なります。詳細については、年金事務所や税理士など、それぞれの分野の専門家への確認をおすすめします。


この記事を書いた人: カズ|60代前半・茨城県南在住・現在再雇用中。事務・管理・総務職を長年経験し、人事業務にも携わっていました。定年後の働き方について、同世代に向けてリアルな情報を発信しています。

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