60代の副業はどう選ぶ?|自分の経験を活かす3つの選択肢

60代の在宅副業のイメージ、ノートPCとメモ帳が置かれたデスク 働き方・生き方

60代を迎え、再雇用や定年が近づくなかで、「副業」という言葉が以前より身近に感じられるようになった方は多いのではないでしょうか。

再雇用後に収入が下がり、家計の余裕が薄れた。あるいは、定年後の数十年を、本業の収入だけで支えていく不安がある。きっかけは人それぞれですが、副業を考える60代は確実に増えています。

ただし、60代の副業選びには、若い世代とは違う条件が加わります。在職中(再雇用中)であれば就業規則の制約があり、体力や生活時間にも限りがあります。「いくら稼げるか」だけでなく、「無理なく続けられるか」「自分が納得して取り組めるか」が、選び方の分かれ目になります。

この記事では、在職中でも始めやすい副業を「自分の経験を活かす」という切り口で3つに絞って整理します。お金以上のリターン——自分の経験を発信し、形にしていくという視点で、副業を考えてみたい方向けの内容です。

60代が副業を考える理由は「お金」だけではない

副業を考える理由として最も多いのは、収入面の補填でしょう。再雇用後の給与減で家計に余裕がなくなった、年金だけでは老後の生活が不安——という現実的な動機です。

ただし、60代が副業を続けるとなると、「お金」だけではモチベーションを保ちにくいのも事実です。短期的な金額だけを目的にしても、忙しさや疲れのなかで長くは続きません。

実際、60代から副業を始める人の動機には、収入補填以外に次のような側面があります。

  • 社会とのつながり:本業以外の人と関わる機会を持ちたい
  • 自分の経験を活かす場:長年積み上げた知識・スキルを別の形で発揮したい
  • 学びや興味の延長:好きなこと・関心のあることを仕事に近づけたい
  • 時間の使い方:本業外の時間を、何かの形で残せるものに変えたい

「お金」と「お金以外の理由」が重なったときに、副業は長く続きやすくなります。逆に言えば、「自分はなぜ副業を始めたいのか」を最初に整理しておくことが、自分に合った副業を見極める出発点になります。

在職中でも始めやすい副業3選|自分の経験を活かす3つの道

ここからは、在職中でも比較的始めやすく、かつ自分の経験を活かせる副業を3つ紹介します。いずれも雇用契約を新たに結ぶ形式ではなく、自分のペースで取り組める点が共通しています。

① ブログ・アフィリエイト

ブログは、文章で自分の知識や経験を発信し、関連する商品・サービスの広告から収益を得る副業です。レンタルサーバーとドメインを契約すれば、月数百円〜千円台の初期コストで始められます。

特徴は、収益化までに時間がかかること、そして一度書いた記事は資産として残り続けることの2点です。短期的に大きく稼ぐ仕組みではなく、半年〜1年以上かけて読者を増やし、少しずつ収益を積み上げていく性質を持ちます。

向いているのは、文章を書くことに抵抗がない方、特定のテーマ(健康・お金・仕事・趣味など)について長く語れる経験を持っている方です。60代がこれまで歩んできた仕事や生活の経験は、若い世代にはない強みになります。

ブログ運営はあくまで自営的な活動ですが、収益が一定額を超えると確定申告が必要になります(後述)。在職中の副業として始める場合は、就業規則の確認も忘れずに行いましょう。

② kindle出版・note有料記事

kindle出版とnoteは、自分が書いた文章(本やコラム)をコンテンツとして販売する副業です。

kindle出版は、Amazonが提供するKDP(Kindle Direct Publishing)を使って、個人で電子書籍を出版できる仕組みです。原稿を整え、表紙を用意し、Amazonに登録すれば、誰でも著者になれます。販売価格は自分で設定でき、売上の35〜70%が著者の収益となります(価格帯と販売方式により変動)。

noteは、文章を投稿できるプラットフォームで、無料記事と有料記事の両方を投稿できます。有料記事を販売した場合、売上の一部が手数料として差し引かれ、残りが収入となります。月額制のマガジンや、サブスクリプション型の継続課金も設定可能です。

両者に共通するのは、ブログよりもさらに「ストック型」の収益構造であることです。一度書き上げた本や記事は、長く販売され続けます。書く労力は大きいものの、内容に価値があれば、時間が経っても収益が発生し続けます。

向いているのは、特定のテーマで体系的に書きたい内容がある方、ブログよりも一歩進んだ形で自分の経験を「作品」にしたい方です。たとえば「再雇用での働き方」「定年前後の家計の整え方」「ある業界での実務経験」など、60代だからこそ書けるテーマは多くあります。

③ オンライン講師・スキルシェア(ココナラ・MENTA等)

ココナラやMENTA、ストアカといったスキルシェアサービスは、自分の知識・スキルを「教える」「相談に乗る」という形で販売する仕組みです。

ココナラは、イラストや文章作成から、占いや人生相談まで、幅広いジャンルを扱うスキルマーケットです。出品者(売り手)の手数料は売上の約22%で、自分が提供できる内容を「サービス」として登録し、購入者から依頼を受ける流れになります。

MENTAは、「メンター(指導する人)」と「メンティ(指導される人)」をつなぐマッチングサービスです。プログラミング・デザインといった技術系のほか、キャリア相談・転職相談など、経験を活かせる分野が中心です。月額サブスク型のプラン設定もでき、継続的な収入につながりやすい仕組みになっています(平均契約価格は1万4,000円前後)。

向いているのは、これまでの仕事で培った専門性や知見を、人に伝えることが好きな方です。長年の事務職経験、人事・総務での実務、特定の業界での知見など、60代のキャリアそのものが商品になります。

ブログやkindleと違い、購入者と1対1でやり取りする形になるため、社会的なつながりが生まれやすいのも特徴です。

副業を始める前に確認すべきこと

3つの選択肢を比べたうえで、副業全般に共通する確認事項を整理しておきます。在職中(再雇用中)に副業を始める場合、特に重要なのは次の3点です。

就業規則を確認する

会社員(再雇用中の場合を含む)が副業を始める前には、必ず勤務先の就業規則を確認してください。副業を「全面禁止」「申請制」「許可制」「制限なし」のどれで扱っているかは、企業や雇用形態によって異なります。

就業規則の運用について不明な点があれば、会社の人事担当者に確認するのが確実です。「副業がしたい」と直接伝えにくい場合でも、「就業規則上の副業の扱いを知りたい」という相談であれば、自然に確認できます。

税金の知識を持っておく

副業で得た所得が年間20万円を超えた場合、所得税の確定申告が必要になります。これは「20万円ルール」と呼ばれ、令和7年度税制改正以後も基本的な扱いに変更はありません。

ここで注意したいのは、20万円ルールには見落としやすいポイントがあることです。

  • 基準は「収入」ではなく「所得」(=収入−経費)。たとえば副業の収入が30万円でも経費が15万円なら所得は15万円となり、所得税の確定申告は不要です。
  • 20万円以下でも、住民税の申告は別途必要です。住民税には20万円ルールがないため、副業の所得が1円でもあれば申告が原則必要となります。
  • 副業がパート・アルバイト(給与収入)の場合、20万円ルールは適用されず、原則として1円から確定申告が必要です。

確定申告や住民税の取り扱いについては、最寄りの税務署や税理士への確認をおすすめします。

時間と体力の見積もり

60代の副業選びでは、「収入」よりも先に「使える時間」と「体力」を見積もっておくことが大事です。本業で疲れたあとの時間や、週末のわずかな空き時間で、無理なく続けられるかを冷静に判断する必要があります。

ブログやkindle出版は、自分のペースで進められる反面、続ける意志がないと止まってしまいます。スキルシェアサービスは依頼者とのやり取りが発生するため、レスポンスの時間を確保できることが前提になります。

副業について、私自身が今考えていること

正直に書くと、私自身も副業について「正解」を見つけたわけではありません。今は手探りの段階にいます。

ただ、いくつかはっきりしてきたこともあります。それは、「お金だけを目的にしても、自分の場合は続かない」ということでした。

再雇用で給与が下がり、家計のやりくりが厳しくなったとき、副業で月に何万円かを上乗せできれば助かるという気持ちは、たしかにありました。一方で、本業で疲れたあとの時間を、楽しくない作業に使い続けられるかと問うと、自信が持てなかったのです。

そこで考え方を変えました。「これまでに自分が経験してきたこと、感じてきたことを、文章にして残してみよう」と。再雇用の現実、60代の家計、定年後の働き方——これらは、自分のなかではすでに整理がついている話題でしたが、同じ立場の誰かにとっては参考になるかもしれない、と思ったのです。

そうして始めたのが、このブログでした。実益(副収入)から始めても続かないかもしれないが、「自分の経験を発信する」という形なら、続けられるかもしれない——という出発点です。

ブログを始めてみて感じたのは、収益はすぐには出ないということ、それでも書き続けることに意味を感じられるということ、の2つでした。まだ収益化までは至っていませんが、書き終えた記事が増えていくと、自分の経験が形になっていく実感はあります。

kindle出版やオンライン講師は、まだ未経験ですが、いずれは挑戦してみたいと考えています。同じ「自分の経験を発信する」延長線上にある選択肢として、自然に視野に入ってきたものでした。

まとめ|副業は「収入」より「経験」から始める

副業を考えるとき、つい「いくら稼げるか」から入ってしまいがちです。しかし60代の副業では、「自分が無理なく続けられるか」「お金以外のリターンも得られるか」のほうが、長く取り組むためには大事になります。

この記事で紹介した3つ——ブログ・アフィリエイトkindle出版・note有料記事オンライン講師・スキルシェア——は、いずれも「自分の経験を発信・形にする」という共通点を持つ選択肢です。短期的に大きく稼ぐ仕組みではありませんが、続けることで自分の経験が資産として積み上がっていく性質を持ちます。

副業を「収入のための作業」と捉えるか、「自分の経験を発信・整理する場」と捉えるかで、続けやすさは大きく変わります。実益(収入を補う)から始めても、続けているうちに「自分はこの分野が好きだったのかもしれない」と気づくこともあるはずです。

「いきなり3つ全部を始める」必要はありません。まずは1つ、自分が続けられそうなものを選んで、半年〜1年かけて試してみる。それが、60代から副業を始めるときの、現実的な一歩だと考えています。

注意:本記事は私の個人的な体験と、一般的な副業の制度をもとに書いています。副業の可否や税金の取り扱いは、企業や個人の状況によって異なる場合があります。詳細については、勤務先の人事担当者や税理士への確認をおすすめします。

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