60代の転職活動、何から始める?|「順序」を整理してみた

机に向かいノートに書き込むシニア男性 転職活動

定年後のキャリアについて、ここしばらく自分なりに考えてきました。自分の経験を棚卸ししたり、これまでの仕事を振り返って「自分は何を大事にしてきたのか」を見つめ直したり。少しずつ、自分の内側にあるものが言葉になってきた気がしています。

そうしているうちに、ふと別の問いが浮かびました。「では、もし実際に動くとしたら、何から始めればいいのだろう」と。

転職するかどうかは、まだ決めていません。今は再雇用で働き続けていますし、明日にでも辞めるつもりがあるわけでもありません。それでも、「動くとしたら何からか」を一度きちんと整理しておきたくなったのです。調べてみると、転職活動には準備の「順序」があるようでした。その順序を、自分なりに組み立ててみた記録を、今回は書いておこうと思います。

なお、定年後のキャリアを考える土台として、自分自身を見つめ直す自己分析のやり方については別の記事で書きました。今回はその先、「実際に動くとしたらの順序」の話です。

転職活動は「いきなり応募」から始めない

転職と聞くと、まず求人サイトを開いて、よさそうな会社に応募する——そんなイメージを私は持っていました。けれど少し調べてみると、その入り方はあまりおすすめされていないようです。

理由はシンプルで、準備が整わないまま応募してしまうと、自分の強みもうまく言葉にできず、応募先も絞り込めず、結果として消耗してしまうから。特に60代の場合、求人の数そのものが若い世代より限られます。やみくもに数を打つやり方は、あまり向いていないのだと思います。

「動き始めるのに遅すぎることはない」とよく言われますが、私はそこに一言だけ付け加えたくなりました。遅すぎることはない。ただし、順序はある。焦って応募から入るのではなく、土台を整えてから動くほうが、結局は遠回りにならないようです。

転職の準備でやることを、順番に整理する

調べた内容を、自分なりに4つのステップにまとめてみました。あくまで「考えてみたらこういう順序になった」という整理です。

Step1 スキルと経験を棚卸しする

最初にやるべきは、応募でも書類作成でもなく、自分の棚卸しでした。これまでどんな仕事をしてきたか、何が得意で、何を評価されてきたか。それを書き出すところから始まります。

ここは、これまで自分が時間をかけてきた部分でもあります。スキルの棚卸しについては以前くわしく書いた記事があるので、合わせて読んでいただけたらと思います。つまずきやすいのは、「自分には書き出すほどの実績なんてない」と手が止まってしまうこと。けれど土台になるのは、いつだって「自分が何を持っているか」を知ることでした。小さなことでも、まず書き出してみるのが先です。

Step2 転職サイトに登録して「市場を知る」

次が、転職サイトへの登録です。ただ、ここで意外だったのは、登録の目的が「すぐに応募するため」ではなかったことです。

まず登録して、どんな求人が、どのくらいの条件で出ているのかを眺める。自分の経験がどんな仕事につながりそうか、世の中の「相場」を知る。応募はその後でいい。市場を知ることそのものが、準備の一つなのだと気づきました。

ここでつまずきやすいのは、登録したとたんに「応募しなければ」と気負ってしまうこと。最初は見るだけで構わないのだと思います。どのサイトを選べばいいかについては、また別の機会にじっくり整理してみたいと思っています。

Step3 職務経歴書で「経験を翻訳する」

市場の感覚がつかめてきたら、職務経歴書の準備です。ここは、これまで考えてきたことと一本につながる部分でした。

自分がやってきたことを、別の場所でも通じる形に「翻訳」する。この考え方については前に書いた記事で触れました。何十年分の経歴を一枚の紙にまとめるのは簡単ではありませんが、棚卸しで集めた材料を、相手に伝わる言葉に置き換えていく作業だと考えると、少し見通しが立ちます。

難しいのは、つい「やってきたことを全部書きたくなる」こと。読む側が知りたいのは量ではなく、「うちで何ができそうか」です。書類の具体的な書き方は、これも改めて別の記事で掘り下げるつもりです。

Step4 エージェントに相談する

ここまで準備が進んだら、転職エージェントへの相談という選択肢が出てきます。一人で進めるのが不安なとき、客観的な意見をくれる相手がいるのは心強いものです。

シニア世代向けのエージェントもあり、相談は無料のところが多いようです。ただ、これも準備が整ってから使うほうが、話がかみ合いやすい。自分の棚卸しも書類もないまま相談に行っても、相手も助言の出しようがないからです。エージェントの使い方も、いずれ詳しく書いてみたいテーマの一つです。

準備は「転職するため」だけのものではない

ここまで順序を書いてきて、自分でも意外だったことがあります。この準備は、必ずしも「転職するため」のものではないのだ、ということです。

棚卸しをして、市場を知って、自分の経験を言葉にしてみる。その一連の作業をやってみると、転職するにせよ、しないにせよ、自分の立っている場所がよく見えるようになります。「自分にはこういう選択肢がある」とわかったうえで今の仕事を続けるのと、何も知らないまま続けるのとでは、同じ「続ける」でも気持ちがまるで違います。

働く期間そのものも、昔より延びています。70歳まで働ける制度を整える企業は3割を超え、年々増えてきました(厚生労働省「高年齢者雇用状況等報告」)。それだけ、60代になってから働き方を考え直す機会も増えているということです。すぐに転職しないとしても、選択肢を一度確かめておく意味は、十分にあるのだと思います。

転職活動の準備は、転職そのものと、案外切り離せるものでした。準備は「確かめておく行為」でもある。そう考えると、最初の一歩が少し軽くなる気がします。

私が「順序」を考えてみて気づいたこと

正直に言えば、私はまだ実際に転職活動をしたわけではありません。今回書いたのは、「もし動くとしたら」という前提で、自分なりに順序を調べ、頭の中で組み立ててみた記録です。

それでも、この順序を考えてみるだけで、得たものがありました。一番大きかったのは、「転職=今すぐ会社を辞めること」という思い込みが、少しほどけたことです。準備は準備として、いつでも始められる。それは決断とは別のものなのだ、と。

頭の中で順序を並べてみると、不思議と気持ちが落ち着きました。わからないから不安なのであって、「何を・どの順でやればいいか」が見えるだけで、転職という言葉の重さが少し軽くなる。実際に動くかどうかは別として、地図を持っているだけで安心できることがあるのだと、改めて思います。

まとめ|まず1つだけ、手をつけるなら

60代の転職活動には、準備の順序がありました。応募から始めるのではなく、棚卸し→市場を知る→経験を翻訳する→相談する、という流れです。

そして、この準備は転職そのものと切り離せるものでした。選択肢を確かめておく行為として、転職するかどうかを決める前から始めていい。むしろ、確かめておくからこそ、その後の選択にも納得感が生まれます。

全部を一度にやろうとすると、腰が重くなります。もし手をつけるなら、まず1つだけ。私の場合は、すでに手をつけていた「棚卸し」の続きから、もう一度向き合ってみようと思っています。あなたなら、どこから始めますか。

なお、準備を終えて面接に進む段階については、面接で何を聞かれるかをまとめた記事に書きました。あわせて読んでいただくと、準備から面接までの流れがつながります。

また、今の仕事を続けながら、焦らず準備を進める動き方については、在職中にできる転職活動でまとめています。「まず見るだけ」から始めたい方は、こちらもどうぞ。


注意: 本記事は私の個人的な体験と、一般的な情報をもとに書いています。転職に関する判断は個人の状況によって異なる場合があります。詳細については、会社の人事担当者や社会保険労務士への確認をおすすめします。

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